
民生費はなぜ増えるのか
2026-09-27 更新
令和6年度に全国1,741市区町村が使った民生費は27.1兆円で、歳出の39.2%を占めました。児童福祉費・社会福祉費・老人福祉費・生活保護費の中身、国と県と自前の税の割合、令和元年度からの動きを決算の数字で追います。
令和6年度に全国1,741の市区町村が民生費として使ったお金は、足し合わせると27.1兆円でした。歳出総額69.1兆円の39.2%にあたり、目的別の歳出のなかでいちばん大きな費目です。令和元年度の21.8兆円からは5.3兆円、率にして24.6%増えていて、同じ期間の歳出総額の伸び(17.4%)を上回ります。
民生費の中身
民生費は福祉のための経費の款で、社会福祉費・老人福祉費・児童福祉費・生活保護費・災害救助費の5つの項に分かれています。市区町村でいちばん大きいのは児童福祉費で、保育所や認定こども園の運営費、児童手当などがここに入ります。社会福祉費は障害のある人への福祉サービスの給付など、生活保護費は生活保護の扶助が中心です。令和6年度の1,741市区町村の合計は、次の表のとおりです。
| 項(令和6年度) | 金額 | 民生費に占める割合 | 令和5年度からの増減 |
|---|---|---|---|
| 児童福祉費 | 10.4兆円 | 38.4% | 7,238億円増(7.5%) |
| 社会福祉費 | 8.3兆円 | 30.7% | 3,641億円増(4.6%) |
| 老人福祉費 | 4.6兆円 | 16.8% | 1,004億円増(2.3%) |
| 生活保護費 | 3.8兆円 | 13.9% | 138億円増(0.4%) |
| 災害救助費 | 446億円 | 0.2% | 202億円増 |
| 合計 | 27.1兆円 | 100% | 1.2兆円増(4.7%) |
令和5年度から令和6年度にかけて増えた1.2兆円のうち、6割近い7,238億円が児童福祉費です。総務省の令和8年版地方財政白書は、令和6年度の民生費が増えた理由として、認定こども園などへの財政支援(施設型給付)の人件費の単価改定と、児童手当制度の拡充による児童福祉費の増加を挙げています。児童手当は令和6年10月分から高校生年代まで支給が延び、所得制限がなくなって、第3子以降は月3万円になりました。生活保護費は0.4%増で、災害救助費を除く4つの項のなかでいちばん動きの小さい費目でした。
6割を超える扶助費
民生費を性質別に見ると、給付のお金である扶助費が17.1兆円で、民生費の63.0%を占めます(令和6年度)。扶助費には、児童手当や生活保護のように国の法律で給付の中身が決まっているものと、市区町村が独自に上乗せして行うものの両方が入ります。法律で決まった給付は、対象になる人の数と、国が定める給付の額で大きさが決まるお金です。国の制度が広がると、その給付を払う市区町村の民生費もそのまま増えるつくりになっています。
国と県のお金、自前の税
令和6年度の民生費27.1兆円の財源は、国庫支出金が8.8兆円(32.6%)、都道府県支出金が3.5兆円(12.9%)で、国と県のお金が合わせて45.5%です。市区町村が使い道を決める一般財源等(地方税や地方交付税など)は13.9兆円(51.3%)、地方債は1,841億円(0.7%)でした。歳出全体では一般財源等が61.7%を占めるので、民生費は国と県のお金の入る割合が大きい費目です。
項ごとに見ると、この割合はかなり違います。生活保護費は国庫支出金が70.0%で、生活保護法が保護費の4分の3を国の負担と定めていることが数字に出ています。児童福祉費も国と県のお金が52.5%(国37.5%、県15.0%)です。老人福祉費は反対に一般財源等が86.2%、国庫支出金は2.2%で、介護保険や後期高齢者医療は市区町村の一般会計とは別の特別会計で運営されています。
6年でどう動いてきたか
1,741市区町村の民生費の合計は、令和元年度の21.8兆円から令和6年度の27.1兆円まで、前年度より減った年が1回しかありません。減ったのは令和4年度で、前年度の25.5兆円から24.7兆円へ8,586億円の減少でした。歳出総額に占める割合と並べると、次のとおりです。
| 年度 | 民生費 | 歳出総額に占める割合 |
|---|---|---|
| 令和元年度 | 21.8兆円 | 36.9% |
| 令和2年度 | 22.5兆円 | 29.9% |
| 令和3年度 | 25.5兆円 | 38.1% |
| 令和4年度 | 24.7兆円 | 37.5% |
| 令和5年度 | 25.9兆円 | 39.0% |
| 令和6年度 | 27.1兆円 | 39.2% |
令和2年度に割合が29.9%まで下がっているのは、民生費が減ったのではなく、歳出総額が75兆円まで増えた年だからです。前年度からの増え方がいちばん大きかったのは令和3年度の3.1兆円で、令和5年度と令和6年度もそれぞれ1兆円を超えて増えています。白書は民生費の推移について、高齢化の進行やこども・子育て政策の強化などの影響で増加傾向にある、と書いています。
座間市の民生費
神奈川県座間市の令和6年度の民生費は262億円で、歳出511億円の51.2%を占めます。この割合は全国1,741市区町村のなかで高いほうから55番目で、全国の中央値は30.2%です。1人あたりでは19.9万円と、全国の中央値21.4万円より少し低いほうでした。歳出総額の1人あたりが38.9万円で、全国の中央値68.7万円を大きく下回るため、民生費の割合が高く出ます。
項では児童福祉費が100億円(38.3%)でいちばん大きく、社会福祉費77.4億円、生活保護費48.6億円、老人福祉費35.6億円と続きます。財源は国庫支出金が91.5億円(35%)、都道府県支出金が31.6億円(12.1%)で、国と県のお金が47%、一般財源等が46.2%でした。民生費は令和元年度の204億円から令和6年度の262億円へ28.5%増え、全国の合計の伸び(24.6%)より少し大きくなっています。項ごとの金額と財源の内訳は、座間市のページの決算の章に載せています。
出典: 金額は総務省「地方財政状況調査 市町村分 調査表」(e-Stat、令和元〜6年度決算、https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?layout=datalist&cycle=7&toukei=00200251&tstat=000001077755&tclass1=000001077756&tclass2=000001077757&tclass3val=0 )の目的別歳出・財源内訳・扶助費の表を、全国1,741市区町村について足し合わせたものです。1人あたりの額は総務省「住民基本台帳に基づく人口」(令和8年1月1日現在)で割った値で、増えた理由は総務省「令和8年版 地方財政白書」第1部4(https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/r08data/2026data/r08czb01-04.html )によります。児童手当の改正はこども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」(https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/mottoouen )、国の負担は生活保護法第75条(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 )を参照しました。
ほかの読みもの
この記事は総務省の公開資料をもとに書いています。控除の適用は一人ひとりの事情で変わるので、具体的な金額はお住まいの市区町村の案内が確かです。


