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ふるさと納税の上限額はどう決まるのか

ふるさと納税の上限額はどう決まるのか

2026-09-27 更新

自己負担2,000円で済む寄附の上限は、住民税の所得割の2割から逆算した額です。式の中身、所得税率の帯が上限を動かすしくみ、令和8年分の基礎控除の引き上げ、ワンストップ特例と確定申告の違い、調整控除の影響を、年収500万円・独身の例で計算します。

年収500万円・独身の給与所得者が令和8年中に寄附する場合、自己負担2,000円で済む上限の目安は57,480円です。この額は、住民税の所得割の2割という天井から逆算した値です。年収だけで決まる数字ではなく、所得割の額と、式に使う所得税率の帯の2つで決まります。同じ年収でも、家族構成や医療費控除などの所得控除で所得割が変われば、上限も動きます。

天井は所得割の2割

寄附額から2,000円を引いた分は、所得税・住民税の基本分・住民税の特例分の3つに分けて税から差し引かれます(控除のしくみの記事)。このうち特例分だけに、住民税の所得割額の20%までという上限があります(地方税法第314条の7)。特例分の式は(寄附額−2,000円)×(90%−所得税率×1.021)で、1.021は復興特別所得税の分です。これがちょうど所得割×20%に届く寄附額を解くと、所得割額×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円という上限の式になります。上限を超えて寄附した分は特例分が頭打ちになるので、自己負担が2,000円より増えます。

年収500万円・独身の計算

このサイトのシミュレーターと同じ前提(収入は給与だけ、社会保険料は年収の15%)で、令和8年分の所得と令和9年度分の住民税を計算すると、次のようになります。住民税の課税所得は、給与所得から社会保険料と住民税の基礎控除を引いた238万円です。所得割はその10%から調整控除を引いた額で、上限の式にそのまま入ります。

年収500万円・独身(令和8年中の寄附) 金額
給与所得(給与所得控除144万円を引いた額) 3,560,000円
社会保険料(年収の15%) 750,000円
住民税の基礎控除 430,000円
住民税の課税所得 2,380,000円
所得割(10%から調整控除2,500円を引いた額) 235,500円
所得割の20%(特例分の天井) 47,100円
上限の目安(47,100円÷84.895%+2,000円) 57,480円

分母の84.895%は、所得税率5%の帯の値(90%−5%×1.021)です。所得割235,500円の内訳は、一般の市区町村なら市町村民税141,300円と道府県民税94,200円になります。指定都市に住んでいれば188,400円と47,100円に分かれますが、合計が同じなので上限の目安も57,480円のままです。

所得税率の帯で上限はどう変わるのか

分母は所得税率の帯ごとに決まっていて、5%の帯は84.895%、10%の帯は79.79%、20%の帯は69.58%です。帯が1つ上がると分母が小さくなるので、所得割が同じでも上限は高くなります。独身の場合を年収ごとに並べると、次のとおりです。

年収(独身) 所得割(令和9年度分) 式に使う所得税率 上限の目安
300万円 111,500円 5% 28,267円
400万円 170,500円 5% 42,167円
500万円 235,500円 5% 57,480円
520万円 248,500円 5% 60,542円
530万円 255,000円 10% 65,917円
600万円 300,500円 10% 77,322円
700万円 369,500円 20% 108,208円
800万円 444,500円 20% 129,766円

年収520万円と530万円では所得割の差は6,500円なのに、上限の目安は5,375円上がっています。帯が5%から10%に変わって、分母が84.895%から79.79%に下がったためです。帯の境目の近くでは、年収のわずかな違いで上限の目安が段になって動きます。

令和8年分の基礎控除と5%の帯

式に使う所得税率は、実際に払う所得税の率ではなく、住民税の課税所得から人的控除差調整額を引いた額で税率表を引いて決まります。人的控除差調整額には、所得税と住民税の基礎控除の差(5万円)などに加えて、令和7年度の改正で「所得税の基礎控除のうち48万円を超える分」が入りました。令和8年分の所得税の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円なので、56万円が上乗せされます。年収500万円・独身の人は、238万円から5万円と56万円を引いた177万円で税率表を引き、195万円以下の5%の帯に入ります。

所得税の基礎控除が48万円だった令和6年分なら、同じ所得割でも233万円で税率表を引くので10%の帯になり、上限の目安は61,029円でした。同じ前提で計算すると、独身の人が5%の帯に入る年収は、441万円までから527万円までに広がっています。5%の帯に移った人は分母が大きくなるので、所得割が変わらなくても上限の目安は下がります。年収500万円・独身なら、下がる幅は3,549円です。

ワンストップ特例と確定申告の違い

上限の57,480円を寄附して確定申告をすると、令和8年分の所得税から2,900円が戻り、令和9年度の住民税は市町村民税が31,587円、道府県民税が21,058円減ります。ワンストップ特例では所得税からは戻らず、その分も含めて令和9年度の住民税から55,476円(市町村民税33,286円、道府県民税22,190円)が引かれます。どちらも合計は寄附額から2,000円を引いた55,480円とほぼ同じで、数十円の違いは税額の端数の切り捨てによるものです。ワンストップ特例の対象は、確定申告の要らない給与所得者などで、その年の寄附先が5団体以内の人です。

調整控除による差

所得割を出すときには、調整控除が差し引かれます。所得税と住民税では基礎控除などの人的控除の額が違うので、その差をもとにした額を住民税の所得割から差し引くしくみです。年収500万円・独身なら調整控除は2,500円(市町村民税1,500円、道府県民税1,000円)で、所得割は238,000円から235,500円になります。天井の20%もそのぶん500円下がり、上限の目安は、調整控除を引かずに計算した58,069円より589円低い57,480円です。

出典: 計算は本サイトのシミュレーターと同じ式によるもので、定数は所得税法・租税特別措置法・地方税法・東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(e-Gov 法令検索、https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 ほか、2026年9月27日に確認)と国税庁タックスアンサーNo.1199・1410・2260(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm ほか)によります。所得税は令和8年分、住民税は令和9年度分の規定で、社会保険料を年収の15%と置き、基礎控除・社会保険料控除以外の所得控除は入れていません。控除の3つの式とワンストップ特例は総務省「ふるさと納税ポータルサイト」の「税金の控除について」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html )を参照しました。

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ほかの読みもの

この記事は総務省の公開資料をもとに書いています。控除の適用は一人ひとりの事情で変わるので、具体的な金額はお住まいの市区町村の案内が確かです。