
上峰町のふるさと納税は、なぜ108億円から18億円に減ったのか
2026-09-29 更新
令和7年度の受入額が63.1億円・37.3万件で全国23位、住民1人あたり63.5万円で全国9位だった佐賀県上峰町。2015年9月の受付開始から、2019年の4か月の指定、令和4年度の108.7億円、ブレンド米の取り扱いの停止と2023年10月の基準改正、令和6年度の18.6億円、費用、使い道、基金と町の財政までを、町・総務省の資料で順にたどります。
令和7年度(2025年度)のふるさと納税の受入額で、佐賀県の上峰町は63.1億円を集め、全国の市区町村で23位でした。件数は37.3万件、1件あたりの寄附額は16,921円で、全国の市区町村の平均22,185円を下回ります。人口9,945人(令和8年1月1日)の町で、住民1人あたりの受入額は63.5万円と全国9位です。受入額がいちばん多かったのは令和4年度の108.7億円(全国6位)で、令和6年度に18.6億円(148位)まで減り、令和7年度に前年度の3.4倍へ戻しました。
2015年9月からの年表
町は2014年12月の町議会でふるさと寄附金基金の条例を定め、2015年7月の臨時議会で、インターネットで寄附を申し込んで決済できるようにする補正予算を通しました。9月4日にポータルサイト「ふるさとチョイス」で受け付けを始め、返礼品は佐賀牛や農産物を中心にそろえています。12月の町議会で町は、10月末までの寄附を8,000件・2.8億円と報告しました。平成26年度に3件・40万円だった受入額は、平成27年度に21.3億円(9.6万件)で全国9位、平成29年度に66.7億円・51.0万件で全国5位になります。2019年6月の町議会で町は、寄附の事務全般を起立工商協会に委託していると答えました。
| 年度 | 受入額 | 全国順位 | できごと |
|---|---|---|---|
| 平成26年度(2014) | 40万円 | 1,518位 | 12月に寄附金基金の条例 |
| 平成27年度(2015) | 21.3億円 | 9位 | 9月にふるさとチョイスで受付 |
| 平成29年度(2017) | 66.7億円 | 5位 | 件数51.0万件 |
| 平成30年度(2018) | 53.2億円 | 10位 | 11月から基準に合わない返礼品 |
| 令和元年度(2019) | 46.7億円 | 7位 | 6〜9月は4か月の指定 |
| 令和3年度(2021) | 45.6億円 | 20位 | |
| 令和4年度(2022) | 108.7億円 | 6位 | 件数89.8万件 |
| 令和5年度(2023) | 75.4億円 | 17位 | 9月末にブレンド米の受付停止、10月に基準改正 |
| 令和6年度(2024) | 18.6億円 | 148位 | 当初予算の寄附金は40億円 |
| 令和7年度(2025) | 63.1億円 | 23位 | 10月からポイント付与の禁止 |
平成20年度からの受入額に、その年の出来事を重ねると次のようになります。
- 平成27年度 9月にふるさとチョイスへ
- 平成29年度 全国5位
- 平成30年度 11月から基準に、合わない返礼品
- 令和元年度 4か月の指定
- 令和4年度 108.7億円で最多
- 令和5年度 ブレンド米の停止、10月に基準改正
- 令和6年度 18.6億円
- 令和7年度 夏に駆け込み、10月からポイント禁止
2019年の「4か月の指定」
総務省は2019年5月14日、6月に始まる指定制度で、2018年11月から2019年3月までに返礼割合3割超か地場産品以外の返礼品で2億円を上回る寄附を集めた43団体について、指定の期間を9月30日までの4か月に限りました。上峰町はその1つで、この間に集めた額は総務省の資料で13億円です。佐賀県では唐津市・武雄市・小城市・吉野ヶ里町・有田町も同じ扱いでした。6月の町議会でまち・ひと・しごと創生室長は、期間を短くした理由は具体的に説明されていないと答えています。総務省は9月19日、43市町村を10月1日から1年間の指定にしました。令和元年度の受入額は46.7億円(全国7位)です。
令和4年度の108.7億円
令和2・3年度に44〜46億円だった受入額は、令和4年度に108.7億円・89.8万件と前年度の2.4倍になりました。2022年12月の町議会には寄附金を30億円増やす補正予算が出され、佐賀新聞は、町が福岡のIT企業にウェブ広告の出し方を委託し、町ゆかりの源為朝をテーマにしたアニメを返礼品の酒のラベルにも使っていると報じ、人気の返礼品は米や肉だとしています。町が公表した令和4年度の使い道には、このアニメなどの制作と発信に3.2億円が並びます。佐賀新聞はまた、町が国に出した報告書で、令和4年度の寄附の27.7%にあたる30.1億円がブレンド米「さがみのり」だったと報じました。米の量は6,016トン分で、町内で返礼品などに回せる約370トンの約16倍としています。
ブレンド米の停止と2023年10月の基準改正
2015年から2025年までの国の制度と町の動きを並べると、次のとおりです。
総務省は2023年6月27日の告示で、10月からは区域内で食肉の熟成や玄米の精白をした品を、同じ都道府県で生産された原料のものに限りました。Q&Aは、県外で収穫した玄米を区域内で精白したものを認められない例に挙げています。佐賀新聞によれば、町は9月末から、基準を満たしていない可能性があるとして「さがみのり」の受け付けを止め、12月8日に取り扱いをやめると明らかにしました。町長は、2022年12月末以降に佐賀県以外の九州産の米を一部使っていたと説明しています。
2023年11月には、返礼品のシャインマスカットに長野県や岡山県などの産地のものが「九州各地」と表示されて含まれていたことを、町が佐賀県の発表を受けて確かめ、その事業者の返礼品をすべて止めました。町長は2025年9月の町議会で、出品を止めて調べ、寄附者への返金を終えたと答えています。
令和5年度の受入額は75.4億円で前年度より30.6%減り、令和6年度は18.6億円・11.4万件で、さらに75.3%減りました。2025年6月の町議会で武廣勇平町長は、告示の改正で米のブレンドの扱いが明確になり、熟成加工が認められなくなったためと説明し、調味加工や組立加工には制限がないとして、町の産地化を進めると述べました。
令和7年度の63.1億円
令和7年度の当初予算は町長選挙のため骨格予算で、寄附金は30億円でした。2025年9月の町議会で政策課長は、6月までに確定した寄附が約5億円、7〜8月は速報値で12.7億円だったと答え、10月からのポイント付与の禁止を前に夏から駆け込みが増えたと説明しています。町は9月に30億円、12月に20億円、寄附金を増やす補正予算を組みました。確定した受入額は63.1億円・37.3万件で、全国の市区町村の伸び4.5%に対して前年度の3.4倍です。令和2年度の44.4億円と比べると1.42倍で、全国の市区町村の1.99倍を下回ります。全国の並びは令和2年度から受入額が伸びた街に載せています。
楽天ふるさと納税の上峰町のページを2026年9月にレビューの多い順で並べると、1番目は国産うなぎの蒲焼、2番目は佐賀県産の「さがびより」だけを使った精米でした。
上峰町の返礼品を楽天で見る→国産うなぎの蒲焼、さがびよりの無洗米、牛タン、大粒のむきエビ、佐賀牛入りのハンバーグ。2026年9月にレビューの多い順で上位だった顔ぶれです。63.1億円のうち費用はいくらか
令和7年度に町が寄附を集めるのに使った費用は31.4億円で、受入額の49.8%でした。
| 費用の区分(令和7年度) | 上峰町 | 全国の市区町村の合計 |
|---|---|---|
| 返礼品の調達 | 27.8% | 26.6% |
| 返礼品の送付 | 8.1% | 5.7% |
| 広報・決済 | 0.6% | 2.2% |
| 事務など | 13.3% | 13.6% |
| うちポータルサイトへの支払い | 18.4% | 18.1% |
割合はいずれも受入額に対するものです。ポータルサイトの運営事業者に払った11.6億円のうち、6.5億円は事務、3.6億円は返礼品の調達の区分に計上されています。受入額から費用を引いた額は31.7億円で、町の住民がほかの自治体へ寄附して減った住民税(令和8年度課税)は689人分の4,023万円です。5割の基準は募集費用5割の記事で扱っています。
寄附は何に使われているのか
令和7年度の寄附を寄附者が選んだ分野で分けると、教育・人づくりが21.0億円(受入額の33.3%)、分野を指定しないが19.2億円(30.3%)、地域・産業振興が19.0億円(30.0%)でした。町が示す5つの使い道のうち4つは、閉店したイオン上峰店の跡地を中心とする再開発「つばきまちづくりプロジェクト」の事業です。令和6年度の寄附18.6億円を選ばれた使い道で分けると、学びの場の整備が6.0億円、2025年4月6日に開いた道の駅かみみねの産直が4.8億円、公園が0.6億円、住宅などが0.4億円、町長に任せる地域活性化が6.7億円でした。
再開発は、町が2020年12月に12の事業者と協定を結び、町と共同で事業を進める合同会社が担っています。町の決算の主な事業には「つばきまちづくりプロジェクトCGF」が令和4年度に49.0億円、令和5年度に29.0億円載り、町は令和4年度の寄附の使い道として、中心市街地活性化事業の資金の貸付に43.6億円を充てたと公表しました。2025年12月の補正予算でも、寄附の見込みに応じて算定した8.5億円をこの項目に計上しています。同じ令和4年度の使い道には、18歳の年度末までの子どもの医療費の助成1,832万円や、学校給食の調理の委託3,100万円も並びます。
町の財政に何が起きたのか
歳入に占める寄附金の割合は、令和元〜3年度の31〜38%から令和4年度に46.6%(歳入233.4億円)へ上がり、令和6年度は16.1%(歳入118.6億円)でした。令和6年度の当初予算で町は寄附金を40億円と見込み、決算では19.1億円です。2025年2〜3月の町議会では一般会計を23.8億円減らす補正予算を可決し、ポータルサイトの利用料を1.9億円減らしました。令和6年度の歳出は110.5億円で前年度の57.0%、基金への積立金は15.4億円で前年度の28.0%です。
ふるさと寄附金基金の残高は、平成27年度末の11.0億円から令和2年度末に53.6億円まで増え、令和6年度末は8.6億円でした。福岡財務支局佐賀財務事務所は、令和3年度以降はこの基金の積立額を取崩額が上回っているとし、収支計画に入っていない中心市街地活性化事業や小中学校の建て替えなどの大規模事業が町財政に影響すると見込んでいます。積立金の残高は令和6年度末に23.9億円、住民1人あたり24.0万円で、全国の市区町村の中央値25.7万円を下回ります。
将来負担比率は平成26年度の37.2%から、平成27年度以降は算定上の負担がない「−」が続いています。財政力指数は令和2年度の0.63から令和6年度の0.52になり、全国の中央値0.44を上回ります。令和8年度の当初予算の寄附金は40億円です。全国の並びは1人あたりの受入額が多い街に載せています。
出典: 受入額・件数・費用・使途(令和7年度)は総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」(令和8年度実施、各年度の受入額と件数は平成20年度から。https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/archive/ )、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日、https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html )、令和6年度の決算は総務省「市町村別決算状況調」(https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/r06_shichouson.html )、令和元〜6年度の歳入と積立金は総務省「地方財政状況調査」(e-Stat、https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?layout=datalist&cycle=7&toukei=00200251&tstat=000001077755&tclass1=000001077756&tclass2=000001077757&tclass3val=0 )とデジタル庁 Japan Dashboard(https://www.digital.go.jp/resources/japandashboard/municipal-finance )によります。1件あたりの寄附額、全国順位、増減の割合、中央値は、全1,741市区町村の値から当サイトで計算しました。制度は総務省「ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/report20190514_02.pdf )とその別紙(https://www.soumu.go.jp/main_content/000619119.pdf )、報道資料「ふるさと納税に係る総務大臣の指定」(2019年9月19日、https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000078.html 、別添 https://www.soumu.go.jp/main_content/000645462.pdf )、令和5年総務省告示第244号(https://www.soumu.go.jp/main_content/000889285.pdf )とQ&A(https://www.soumu.go.jp/main_content/000893395.pdf )、令和6年総務省告示第203号(https://www.soumu.go.jp/main_content/000956052.pdf )を参照しました。町の資料は、上峰町議会の会議録(2014年12月5日 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji003146/3_146_9_20141205touronsaiketu.pdf 、2015年9月4日 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji003152/3_152_11_20150904kaikikettei.pdf 、2015年12月11日 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji003152/3_152_3_20151211kaikai.pdf )、議会だより(Vol.190 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji003441/3_441_shiryou1_wjc70ipe.pdf 、Vol.213 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji0031413/3_1413_shiryou1_vjr6w5j4.pdf 、Vol.214 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji0031486/3_1486_shiryou1_wp5slpd5.pdf 、Vol.215 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji0031515/3_1515_shiryou1_w8bcdei4.pdf 、Vol.216 https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji0031580/3_1580_shiryou1_8oclo3am.pdf )、「ふるさと納税寄附金の使い道」(令和4年度・令和6年度、https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji003172/index.html )、「ふるさと納税返礼品仲卸事業者によるふるさと納税返礼品の不適正表示について」(https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji0031193/index.html )、財政事情の公表(令和4〜6年度の決算、令和6〜8年度の予算、平成23〜令和6年度の財政状況資料集、https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji00362/index.html )、福岡財務支局佐賀財務事務所「財務状況把握の結果概要」(令和6年度、https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji00362/3_62_up_4c5jy7wx.pdf )、町民だより かみみね No.365(https://www.town.kamimine.lg.jp/kiji0031422/3_1422_shiryou1_pd7ysv3i.pdf )です。報道は佐賀新聞(2022年12月7日 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/958408 、2023年12月8日 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1156046 、2023年12月9日 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1156737 、2025年6月11日 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1482263 、2025年9月17日 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1554075 )とサガテレビ(2020年12月3日、https://www.sagatv.co.jp/news/archives/2020120304314 )です。楽天の返礼品の並びは、2026年9月29日に取得した楽天市場のデータです。いずれも2026年9月29日に確認しました。
ほかの読みもの
この記事は総務省の公開資料をもとに書いています。控除の適用は一人ひとりの事情で変わるので、具体的な金額はお住まいの市区町村の案内が確かです。


