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人口6,840人の白糠町に、なぜふるさと納税が223億円集まるのか

人口6,840人の白糠町に、なぜふるさと納税が223億円集まるのか

2026-09-29 更新

令和7年度に受入額223.3億円・127.6万件で全国2位、住民1人あたり326.5万円で全国1位になった北海道白糠町。2015年10月の返礼品の開始から、指定制度と基準の改正、返礼品と運営の委託、費用の内訳、「太陽の手」子育て支援の財源、基金と町の財政までを、総務省と町の資料で順にたどります。

令和7年度(2025年度)のふるさと納税の受入額で、北海道の白糠町は223.3億円を集め、全国の市区町村で2位でした。1位の大阪府泉佐野市(230.4億円)との差は7.1億円で、件数は127.6万件です。町の人口は6,840人(令和8年1月1日)で、受入額を住民1人あたりにすると326.5万円になり、全国の市区町村で最も多い額です。2位の北海道別海町は153.9万円、全国の中央値は10,584円でした。令和6年度の決算では、町の歳入381.3億円のうち寄附金が213.7億円で、56.1%を占めています。

2015年10月からの年表

町が寄附者に返礼品を送り始めたのは2015年10月15日です。平成26年度の受入額は205万円(15件)で、全国の市区町村で1,018位でした。2015年は国の制度が変わった年でもあり、1月から控除の枠が約2倍に広がり、4月には確定申告のいらないワンストップ特例が始まりました。全国の市区町村の受入額は、平成26年度の375.5億円から平成27年度の1,625.9億円に増えています。白糠町の平成27年度の受入額は1.59億円(6,953件)で、全国225位でした。

その後は毎年増え、令和元年度に67.3億円で全国4位に入り、令和5年度まで4位が続きました。令和6年度は211.7億円で2位(1位は兵庫県宝塚市)、件数の133.3万件は全国1位です。北海道新聞は2026年4月、町の発表として、令和7年度の寄附額が11年連続で過去最多になったと報じました。

年度 受入額 全国順位 できごと
平成26年度(2014) 205万円 1,018位
平成27年度(2015) 1.59億円 225位 10月15日に返礼品を送り始める
平成28年度(2016) 8.18億円 62位
平成30年度(2018) 32.1億円 21位 「太陽の手」子育て支援を始める
令和元年度(2019) 67.3億円 4位 6月から指定制度(通常の指定)
令和3年度(2021) 125.2億円 4位
令和5年度(2023) 167.8億円 4位
令和6年度(2024) 211.7億円 2位 件数は133.3万件で全国1位
令和7年度(2025) 223.3億円 2位 11年連続で過去最多

平成20年度からの受入額に、その年の出来事を重ねると次のようになります。

受入額と出来事(平成20〜令和7年度)
050億円100億円150億円200億円250億円10月に返礼品を送り始める「太陽の手」子育て支援指定制度が始まるシフトプラスの事業場を新設件数で全国1位11年連続で過去最多10月からポイント禁止平20平21平22平23平24平25平26平27平28平29平30令元令2令3令4令5令6令7全国順位225位62位26位21位4位4位4位4位4位2位2位
050億円100億円150億円200億円250億円1234562021222324252627282930元234567全国順位2256226214444422平成令和
  1. 平成27年度 10月に返礼品を送り始める
  2. 平成30年度 「太陽の手」子育て支援
  3. 令和元年度 指定制度が始まる
  4. 令和4年度 シフトプラスの事業場を新設
  5. 令和6年度 件数で全国1位
  6. 令和7年度 11年連続で過去最多、10月からポイント禁止

指定制度と基準の改正はどう響いたのか

2015年から2025年までの国の制度と町の動きを並べると、次のとおりです。

制度の変化と白糠町の動き(2015〜2025年)
2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年2025年制度・全国2015年4月ワンストップ特例が始まる控除の枠は1月から約2倍2019年6月指定制度が始まる白糠町は通常の指定2024年6月ポイント付与の禁止を告示2017年4月返礼割合3割以下の通知2023年10月熟成肉・精米の基準改正2025年10月ポイント付与の禁止を適用白糠町2015年10月15日返礼品を送り始める2019年4月〜2020年3月67.3億円で全国4位2024年4月〜2025年3月件数133.3万件で全国1位2018年2月「太陽の手」子育て支援を発表2018年度から2022年5月シフトプラスの営業所開設へ2022年度に町が補助制度・全国白糠町2015年2017年2018年2019年2022年2023年2024年2025年2015年4月ワンストップ特例が始まる控除の枠は1月から約2倍2015年10月15日返礼品を送り始める2017年4月返礼割合3割以下の通知2018年2月「太陽の手」子育て支援を発表2018年度から2019年4月〜2020年3月67.3億円で全国4位2019年6月指定制度が始まる白糠町は通常の指定2022年5月シフトプラスの営業所開設へ2022年度に町が補助2023年10月熟成肉・精米の基準改正2024年4月〜2025年3月件数133.3万件で全国1位2024年6月ポイント付与の禁止を告示2025年10月ポイント付与の禁止を適用

総務省は2019年5月14日、6月1日から始まる指定制度の対象を決めました。前年11月から3月までに、返礼割合が3割を超える品か地場産品以外の品で2億円を上回る額を集めた43団体は指定の期間を4か月に限られ、泉佐野市など4市町は指定されていません。白糠町はどちらにも入らず、ほかの多くの団体と同じ1年4か月の指定を受けました。令和元年度の受入額は67.3億円で、前年度の2.1倍です。

2023年10月には、熟成肉と精米の返礼品に原料の産地の条件が付きました。白糠町の返礼品で人気の上位はいくらやサーモンなどの海産物で、受入額は令和4年度の148.3億円から令和5年度の167.8億円に増えています。総務省は2024年6月の告示で、寄附にともなってポイントなどの経済的な利益を出す事業者を通じた募集を、2025年10月から禁じました。令和7年度の白糠町の受入額は前年度より5.5%多い一方、件数は4.3%減り、1件あたりの寄附額は15,875円から17,496円になりました。全国の市区町村の件数は1.3%増えています。

返礼品は何で、だれが運営しているのか

町の特設サイトは、町の海で獲れるものにししゃも、毛がに、柳だこ、鮭、つぶ貝を挙げ、陸のものに、しそ焼酎「鍛高譚」のしそ、チーズ、羊肉、鹿肉を並べています。北海道新聞によれば、人気1位の返礼品は醤油漬けのサケいくらです。町は、付加価値の高い漁業をめざす取り組みから「シラリカいくら」や「極寒ぶり」といったブランドが生まれたとし、釧路管内の7町村と共通の返礼品の開発も始めました。北海道新聞は2026年3月、白糠漁協の2025年の総取扱高が秋サケの不漁で前年比2.3%減の13.1億円だったと報じています。

寄附の問い合わせ窓口は「白糠町ふるさと納税サポート室」で、町は、寄附件数が増えて運用を効率化するためにシフトプラス株式会社(大阪市)へ委託していると説明しています。楽天市場の町の店の案内では、寄附金受領証明書とワンストップ特例の申請書の発送・受付は別の会社に任されています。釧路新聞は2022年5月、シフトプラスが町内に営業所を開く予定だと報じ、町は2022年度の企業活動支援条例補助金の使い道の一つに、同社の事業場の新設を挙げました。

いま多くの人が選んでいる品の顔ぶれは、楽天ふるさと納税の白糠町のページに並んでいます。

白糠町の返礼品を楽天で見る→いくらの醤油漬け、エンペラーサーモン、鱒のいくら、ホタテの貝柱、シラリカいくら。2026年9月にレビューの多い順で上位だった顔ぶれです。楽天ふるさと納税 PR

223.3億円のうち費用はいくらか

令和7年度に町が寄附を集めるのに使った費用は110.9億円で、受入額の49.7%でした。内訳は返礼品の調達24.0%、送付10.1%、事務など14.9%で、全国の市区町村の合計(調達26.6%、送付5.7%、事務など13.5%、全体48.0%)と比べると、送付の割合が高く出ています。費用のうちポータルサイトの運営事業者に払った額は42.6億円(受入額の19.1%)で、全国の市区町村の合計の18.1%を少し上回り、そのうち25.3億円は事務の区分、10.5億円は調達の区分に計上されています。1件あたりの寄附額は17,496円で、全国の市区町村の平均22,185円より少ない額です。

受入額から費用を引いた額は112.4億円で、町の住民がほかの自治体へ寄附して減った住民税(令和8年度課税)は258人分の1,244万円でした。令和6年度の決算では、人件費・物件費などの町民1人あたりの額が208.0万円で、人口や産業構造が近い81団体の中で最も多く、町は人口の減少とふるさと納税の事務の経費の増加をその理由に挙げています。5割の基準は募集費用5割の記事で扱っています。

子育て支援の財源は太陽光か、ふるさと納税か

町は2018年度から、出産祝い金、18歳までの医療費の無料化、保育料の無料化、学校給食費の無料化、入学支援金の5つの事業を「太陽の手」子育て支援としてまとめています。町のページは、その財源を町内にある大小80を超える太陽光発電施設による税収入だと説明しており、2018年2月の発表を報じた日本経済新聞も、太陽光発電の設備から入る固定資産税などを主な財源としていました。

一方で町は、寄附者が選べる8つの使い道の一つに「太陽の手」子育て支援事業を置いています。令和6年度は、この使い道を指定した寄附が33.6万件・55.7億円ありました。総務省の現況調査の分類では、令和7年度の受入額のうち分野を指定しない寄附が48.2%、子ども・子育てが25.3%、教育・人づくりが11.0%です。

使い道(令和6年度) 件数(万件) 寄附額(億円)
白糠町におまかせ 50.9 83.8
「太陽の手」子育て支援事業 33.6 55.7
人づくりのための教育事業 23.7 36.0
豊かな自然環境保護のための事業 11.7 16.7
「駅舎&駅前周辺整備」事業 10.0 14.8
魅力あるまちづくり事業 2.4 3.6
健康で思いやりのある社会づくり事業 0.5 0.6
活力に満ちた産業づくり事業 0.4 0.4
合計 133.3 211.7

町が令和6年度に過去の寄附金を使った事業は182事業・59.5億円で、うち56.4億円が「魅力あるまちづくり」の144事業でした。町は主な事業に、白糠駅前広場の整備、2025年4月のオープンに向けた道の駅の移転改築、定住用の宅地の造成、白糠漁協のホタテの増養殖の実証試験への支援を挙げています。「太陽の手」子育て支援事業に充てた額は5,423万円(令和4年度は4,810万円)で、財政状況資料集によれば、太陽の手子育て基金に寄附金から5,500万円を積み立て、同じ額を事業に取り崩しました。基金の残高は令和4〜6年度末とも6.53億円です。指定された額は経費を引く前の金額で、町は、経費を除いた5割程度が町に残り、翌年度以降の事業に使って、残りを基金に積み立てていると説明しています。同じ年度の2つの額は、そのままでは比べられません。

太陽光の税収の大きさは、決算の町税から見当がつきます。令和6年度の町税は9.9億円で、そのうち固定資産税は5.4億円でした。太陽光発電の設備にかかる固定資産税は償却資産の区分に入り、その額はほかの設備の分も含めて2.2億円です。同じ年度の寄附金は213.7億円でした。

町の財政に何が起きたのか

一般会計の歳出は、2014年度の97.4億円から2024年度の377.5億円に増えました。町は、令和6年度の歳出が前年度より95.6億円増えた主な理由を、返礼品にかかる経費と、寄附金を基金に積み立てたことだと説明しています。令和6年度の歳入は、寄附金213.7億円に対して地方交付税が37.2億円、町税が9.9億円です。財政力指数は令和2年度の0.26から令和6年度の0.24へと下がり、全国の市区町村の中央値0.44を下回っています。

積立金の残高は、平成29年度末の35.3億円から令和元年度末に69.7億円、令和6年度末に240.5億円になり、町の広報によれば町民1人あたり約346万円です。令和6年度は寄附金が増えたことで、まちづくり基金に61.5億円、公共施設等整備基金に16.6億円、教育基金に16.1億円を積み立て、まちづくり基金から49.3億円などを取り崩しました。

将来負担比率は平成20年度の176.5%から平成27年度に60.4%、平成30年度に47.1%まで下がり、令和元年度からは算定上の負担がない「−」が続いています。町はその理由を、基金への積み立てが増えて返済に充てられる財源が増えたためとしています。実質公債費比率は令和6年度に10.2%で、町は小中学校の建設などの地方債の返済が令和5〜12年度に毎年10億円を超えると見込んでいます。全国の並びは1人あたりの受入額が多い街、受入額が多い街、令和2年度から受入額が伸びた街に載せています。

出典: 受入額・件数・費用・使途(令和7年度)は総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」(令和8年度実施、各年度の受入額と全国順位は平成20年度から。https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/archive/ )、人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日、https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html )、令和6年度の決算は総務省「市町村別決算状況調」(https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/r06_shichouson.html )、固定資産税の償却資産の額はデジタル庁「Japan Dashboard」の地方財政(https://www.digital.go.jp/resources/japandashboard/municipal-finance )によります。1件あたりの寄附額、全国順位、件数の増減は、全1,741市区町村の受入額と件数から当サイトで計算しました。制度は総務省「平成27年度税制改正」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html )、「ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/report20190514_02.pdf )とその別紙(https://www.soumu.go.jp/main_content/000619119.pdf )、令和5年総務省告示第244号(https://www.soumu.go.jp/main_content/000889285.pdf )、令和6年総務省告示第203号(https://www.soumu.go.jp/main_content/000956052.pdf )を参照しました。町の説明は白糠町「ふるさと納税制度」(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/furusato.html )、「子育て応援日本一の町へ『太陽の手子育て支援』」(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/h8v21a000000h6j6.html )、「令和4年度ふるさと納税の主な活用事業」(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/usage-r04.html )、ふるさと納税特設サイト(https://shiranuka-furusato.jp/ 、https://shiranuka-furusato.jp/manifesto/ )、広報しらぬか2025年11月号の「令和6年度 ふるさと納税の実績」(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/h8v21a000000rlfb-att/h8v21a000000rlly.pdf )と「令和6年度決算報告 町の財政状況」(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/h8v21a000000rlfb-att/h8v21a000000rllk.pdf 、https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/h8v21a000000rlfb-att/h8v21a000000rllr.pdf )、令和元年度と令和6年度の財政状況資料集(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/h8v21a000000h5mj.html )、健全化判断比率(https://www.town.shiranuka.lg.jp/section/kikaku/h8v21a000000h5tq.html )、楽天市場の町の店の案内(https://www.rakuten.co.jp/f016683-shiranuka/info.html )です。報道は北海道新聞(2026年4月21日 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1303562/ 、2026年3月31日 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1295070/ )、釧路新聞(2022年5月27日、https://kushironews.jp/2022/05/27/342819/ )、日本経済新聞(2018年2月20日、https://www.nikkei.com/article/DGKKZO27100880Z10C18A2L41000/ )です。いずれも2026年9月29日に確認しました。

ほかの読みもの

この記事は総務省の公開資料をもとに書いています。控除の適用は一人ひとりの事情で変わるので、具体的な金額はお住まいの市区町村の案内が確かです。