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都城市はなぜふるさと納税で5度の全国1位になったのか

都城市はなぜふるさと納税で5度の全国1位になったのか

2026-09-29 更新

令和7年度に受入額216.5億円・105.8万件で全国3位だった宮崎県都城市。平成26年度に返礼品を「日本一の肉と焼酎」に絞った見直しから、事業者が資金を出す振興協議会、2017年の通知への対応、5度の全国1位、返礼品の産地の不適正表示、費用の内訳と使い道、市の財政までを、市と総務省の資料で順にたどります。

令和7年度(2025年度)のふるさと納税の受入額で、宮崎県の都城市は216.5億円を集め、泉佐野市(230.4億円)、白糠町(223.3億円)に次ぐ全国3位でした。件数は105.8万件で、1件あたりの寄附額は20,452円と、全国の市区町村の平均22,185円を下回ります。受入額の全国1位は平成27・28年度と令和2・4・5年度の5回あり、平成26年度から令和7年度までの12年度はすべて10位以内に入っています。市長は受入額が発表されるたびのコメントで、ふるさと納税を「対外的なPRツール」として進めると述べてきました。

平成26年度からの年表

平成25年度まで年1,000万円に届かなかった受入額は、返礼品を見直した平成26年度に5.0億円、平成27年度に42.3億円になりました。

年度 受入額 全国順位 できごと
平成25年度(2013) 964万円 266位
平成26年度(2014) 5.0億円 9位 10月に返礼品を肉と焼酎に絞る
平成27年度(2015) 42.3億円 1位 9月にほかの返礼品も扱う
平成28年度(2016) 73.3億円 1位 4月に振興協議会が発足
平成29年度(2017) 74.7億円 3位 6月に返礼割合を3割以下に
平成30年度(2018) 95.6億円 6位
令和元年度(2019) 106.5億円 2位 6月から指定制度
令和2年度(2020) 135.3億円 1位
令和3年度(2021) 146.2億円 2位
令和4年度(2022) 195.9億円 1位 件数が100万件を超える
令和5年度(2023) 193.8億円 1位 4月に3つの完全無料化、11月に産地の不適正表示
令和6年度(2024) 176.9億円 4位 返礼品の事業者に立入調査
令和7年度(2025) 216.5億円 3位

平成20年度からの受入額に、その年の出来事を重ねると次のようになります。

受入額と出来事(平成20〜令和7年度)
050億円100億円150億円200億円250億円10月に見直し肉と焼酎に絞る初の全国1位振興協議会が発足返礼割合を3割以下に指定制度が始まる全国1位全国1位2年連続の1位産地の不適正表示216.5億円で3位平20平21平22平23平24平25平26平27平28平29平30令元令2令3令4令5令6令7全国順位266位9位1位1位3位6位2位1位2位1位1位4位3位
050億円100億円150億円200億円250億円1234567892021222324252627282930元234567全国順位266911362121143平成令和
  1. 平成26年度 10月に見直し、肉と焼酎に絞る
  2. 平成27年度 初の全国1位
  3. 平成28年度 振興協議会が発足
  4. 平成29年度 返礼割合を3割以下に
  5. 令和元年度 指定制度が始まる
  6. 令和2年度 全国1位
  7. 令和4年度 全国1位
  8. 令和5年度 2年連続の1位、産地の不適正表示
  9. 令和7年度 216.5億円で3位

「肉と焼酎」に絞った平成26年度の見直し

市のサイト「Think都城」によれば、見直しは2012年11月に就任した池田宜永市長の方針から始まりました。市は2014年4月に「みやこんじょPR課」を設け、ふるさと納税の担当は同じ月にできた総合政策課に移ります。担当者が最初に出したのは、市内のさまざまな産業から返礼品を集める案でしたが、市長は「日本一の肉と焼酎」に絞るよう求め、案は作り直しになりました。

2014年10月7日に切り替えた返礼品は、A5等級の宮崎牛、黒豚の「Mの国黒豚」、霧島酒造の黒霧島と赤霧島などの30種類ほどで、「宮崎牛一頭分」500万円や黒霧島の一升瓶365本といった品も並びました。市の説明では、当初は返礼品の調達に寄附額の6割、送料などを含めると8割ほどがかかっていました。寄附は4か月で4億円を超え、平成26年度の受入額は前年度の約52倍の5.0億円(全国9位)になっています。

2015年9月には肉と霧島酒造の焼酎以外の返礼品も扱いはじめ、ほかのブランド豚や、市内のほかの焼酎メーカー3社が加わって、2015年度末には100種類ほどになりました。平成27年度の受入額は42.3億円で、全国の市区町村の合計の2.6%にあたり、初めて全国1位になっています。この年度は税制改正で特例控除の上限が住民税の所得割の1割から2割に上がり、確定申告のいらないワンストップ特例もできました。

事業者が資金を出す振興協議会

2016年4月、返礼品を出す市内の事業者20社で「都城市ふるさと納税振興協議会」が発足しました。事業者が返礼品による収入の2%を負担金として出し合い、都市部でのイベントや広告など、市の予算では組みにくいPRを受け持つしくみです。協議会は自治体からの補助を受けていないとしており、加盟は2025年1月に158社になりました。平成28年度の受入額は73.3億円で、2年続けて全国1位です。

2017年の通知と2019年の指定

2014年から2025年までの、国の制度の動きと市の動きを並べると次のとおりです。

制度と都城市の動き(2014〜2025年)
2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年2025年制度・全国2015年4月控除の上限が2倍にワンストップ特例2017年5月24日高額な返礼の見直し要請2023年10月付随する事務も5割の費用に2017年4月1日返礼割合3割以下の通知2019年6月指定制度が始まる都城市は1年4か月の指定都城市2014年10月7日返礼品を見直し肉と焼酎だけに2016年4月振興協議会が発足事業者20社2023年4月3つの完全無料化2024年5月〜2025年3月事業者に立入調査144事業者2015年9月ほかの返礼品も扱う2017年6月1日寄附額を倍にして3割以下に2023年11月14日産地の不適正表示九州農政局の発表裁判所2025年1月14日事業者への請求を認める制度・全国都城市2014年2015年2016年2017年2019年2023年2024年2025年2014年10月7日返礼品を見直し肉と焼酎だけに2015年4月控除の上限が2倍にワンストップ特例2015年9月ほかの返礼品も扱う2016年4月振興協議会が発足事業者20社2017年4月1日返礼割合3割以下の通知2017年5月24日高額な返礼の見直し要請2017年6月1日寄附額を倍にして3割以下に2019年6月指定制度が始まる都城市は1年4か月の指定2023年4月3つの完全無料化2023年10月付随する事務も5割の費用に2023年11月14日産地の不適正表示九州農政局の発表2024年5月〜2025年3月事業者に立入調査144事業者裁判所2025年1月14日事業者への請求を認める

総務省は2017年4月1日の通知で返礼割合を速やかに3割以下にするよう求め、5月24日には高額な寄附への返礼の見直しを要請しました。市は6月1日に返礼品を改め、それまでの品は寄附額を倍にし、寄附1万円の返礼品は量を減らして用意し直しています。1万円の宮崎牛は700グラムから400グラムに、焼酎の一升瓶は3本から2本になりました。黒霧島365本のセット(調達額30万円相当)などは扱いをやめ、寄附20万円への返礼品(調達額6万円相当)が最高額になっています。事業者は65から84に、品目は約380から約525に増えました。受入額は平成29年度が74.7億円(全国3位)、平成30年度が95.6億円(6位)でした。

2019年6月に始まった指定制度で、総務大臣は5月14日、返礼割合3割超や地場産品以外の返礼品で多額を集めた43団体の指定を4か月にとどめ、泉佐野市など4市町を指定しませんでした。都城市はどちらにも入らず、2020年9月までの1年4か月の指定を受けています。令和2年度の受入額は135.3億円で全国1位になり、市長は、改正地方税法が年度を通して適用された最初の年度だったとコメントしました。

令和の1位と産地の不適正表示

令和4年度は195.9億円・100.4万件、令和5年度は193.8億円で、2年続けて全国1位でした。2023年11月14日、九州農政局は返礼品の事業者だった株式会社ヒムカ食品の不適正表示を発表します。市によれば、2022年10月から2023年4月に出荷した「宮崎県産若鶏もも」の中身はブラジル産とタイ産の鶏肉でした。市は11月21日に契約を解除し、支払い済みの委託料に相当する約1億8千万円を請求しました。宮崎地裁は2025年1月14日に市の主張を全面的に認め、事業者に計1億3,548万円と遅延損害金の支払いを命じています。市は返礼品の事業者への立入調査を続けており、令和6年度は144、令和7年度は145の事業者を調べています。受入額は令和6年度に176.9億円(全国4位)となり、令和7年度は216.5億円(3位)でした。全国の並びは受入額が多い街の一覧に載せています。

返礼品のいまの顔ぶれは、楽天ふるさと納税の都城市のページに並んでいます。2026年9月にレビューの多い順で並べると、上位5品はすべて肉で、焼酎は入っていませんでした。

都城市の返礼品を楽天で見る→選べる部位の宮崎牛、豚肉のセット、国産若鶏、炭火焼鶏、お米豚。2026年9月にレビューの多い順で上位だった顔ぶれです。楽天ふるさと納税 PR

216.5億円のうち費用はいくらか

令和7年度に市が寄附を集めるのに使った費用は107.2億円で、受入額の49.5%でした。全国の市区町村の合計は48.0%です。

費用の区分(令和7年度) 都城市 全国の市区町村の合計
返礼品の調達 27.1% 26.6%
返礼品の送付 10.1% 5.7%
広報・決済 0.5% 2.2%
事務など 11.9% 13.6%
うちポータルサイトへの支払い 15.5% 18.1%

割合はいずれも受入額に対するものです。送付の割合は全国の合計の約1.8倍で、ポータルサイトの運営事業者へ払った額は33.6億円で、受入額に対する割合は全国の合計より2.6ポイント低くなっています。2023年10月からは、ワンストップ特例や寄附金受領証の事務など、募集に付随する事務の費用も5割の基準に数えることになっています。基準のしくみは募集費用5割の記事で扱い、全国の並びは費用割合が高い街と1件あたりの寄附額が大きい街に載せています。

寄附は何に使われているのか

令和7年度の寄附で使い道の指定がいちばん多かったのは「子ども・子育て」で、使い道ごとの額の合計の51.3%を占め、次が「分野を指定しない」の28.9%でした。寄附はおもに翌年度の予算で使われます。令和8年度の当初予算の資料では、令和7年度の4〜12月に受けた寄附202.3億円のうち160.0億円を266の事業に充て、残る42.3億円は補正予算で使う予定としています。

市は2023年4月から、第1子からの保育料、中学生以下の医療費、妊産婦の健康診査費用の「3つの完全無料化」を始めました。令和5年度の当初予算は保育料が6億6,831万円、医療費が6億1,252万円、健診が1億4,180万円で、令和8年度は3つで15億5,922万円です。市の予算資料は、ふるさと納税を使う主な事業のうち「子ども支援」の最初に、この3つを挙げています。

市の財政に何が起きたのか

令和6年度の決算では、歳入1,381.2億円のうち寄附金が177.2億円で12.8%を占め、地方税203.1億円の87%にあたる額でした。基金などからの繰入金は268.2億円、基金に積み立てた額は224.1億円です。年度末の積立金の残高は543.7億円で、住民1人あたり33.5万円と、全国の市区町村の中央値25.7万円を上回ります。

令和6年度の財政力指数は0.55(全国の中央値0.44)、経常収支比率は97.3%(同91.5%)、実質公債費比率は6.1%(同7.6%)でした。将来負担比率は、市の公表では平成24年度の10.8%のあと、寄附が伸びる前の平成25年度から令和6年度まで「−」(算定上の負担がない)が続いています。令和7年度の受入額から費用を引いた額は109.2億円で、市の住民がほかの自治体へ寄附して減った住民税(令和8年度課税)は5.4億円です。

出典: 受入額・件数・費用・使い道は総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果」(令和8年度実施、各年度の受入額は平成20年度から。https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/archive/ )、令和6年度の決算は総務省「市町村別決算状況調」(https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/r06_shichouson.html )によります。全国順位は、平成25〜令和3年度が「Think都城」の表、令和4〜7年度が市の発表によるもので、現況調査の全市区町村の受入額の並びとも一致します。指定の経過は総務省「ふるさと納税指定制度における令和元年6月1日以降の指定等について」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/report20190514_02.pdf )、2023年の改正は令和5年総務省告示第244号(https://www.soumu.go.jp/main_content/000889285.pdf )と「ふるさと納税に係る指定制度の運用について」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000889286.pdf )です。市の取り組みは、都城市のサイト「Think都城」の記事(2022年10月28日 https://think-miyakonojo.jp/article/1590/ 、11月9日 https://think-miyakonojo.jp/article/1855/ 、12月2日 https://think-miyakonojo.jp/article/2022/ 、12月27日 https://think-miyakonojo.jp/article/2492/ 、2024年6月28日 https://think-miyakonojo.jp/article/9673/ )、都城市ふるさと納税振興協議会(https://miyakonojo-kyogikai.jp/about/ )、2017年6月の返礼品の見直しの資料(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/uploaded/attachment/6445.pdf )、受入額の発表と市長コメント(令和2年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/38088.html 、令和4年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/56631.html 、令和5年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/66324.html 、令和6年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/77827.html 、令和7年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/87719.html )、産地の不適正表示の経緯(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/60428.html )と裁判の結果(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/69811.html )、立入調査(令和6年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/76762.html 、令和7年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/80/85358.html )、保育料の完全無料化(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/89/53897.html )、当初予算のポイント(令和5年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/uploaded/attachment/26081.pdf 、令和8年度 https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/uploaded/attachment/44097.pdf )、健全化判断比率(https://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/soshiki/19/2262.html )を参照しました。いずれも2026年9月29日に確認しています。

ほかの読みもの

この記事は総務省の公開資料をもとに書いています。控除の適用は一人ひとりの事情で変わるので、具体的な金額はお住まいの市区町村の案内が確かです。